Ride&Fish

2025-05-24

サイクルトレイン「KettA」を駆使! 伊勢志摩ライド&フィッシュ5人旅 <前編>

自転車で釣りをする「ライド&フィッシュ」。
シマノスクエアではさらにサイクルトレインでの移動をプラスした遊び方をプッシュしてきました。今回も電車を使ってナイスなロケーションを目指します。舞台は伊勢志摩! 大阪や中京圏からは小旅行の距離ですが、だからこそサイクルトレインを用いた一泊のライド&フィッシュ旅が最高だったのです。充実の2日間をレポート!


サイクルトレイン「KettA」で伊勢志摩へ!


今回のサイクルトレインは近畿日本鉄道(近鉄)さんの「KettA」。2023年から運行を開始したサイクルトレインで、大阪〜伊勢志摩と、名古屋〜伊勢志摩を結ぶ長距離路線。シマノスクエアのある大阪からは、大阪上本町(上本町)駅が始発駅になります。まだ日の昇らないAM6時前、サイクリストが続々と駅前に集まり始めました。その自転車には筒状のケースや、棒状のものが装着されています。彼らは釣り人であり、自転車乗り!


「KettA」の始発駅は近鉄・上本町駅。自転車はこのまま地上改札を通りホームまでどうぞ


カラーリングも可愛らしいサイクルトレイン「KettA」が我々を待ってくれていた!アガる!


自転車をそのままホームまで持ち込んで乗車するだけ。ラクチン。


やっぱりサイクルトレインは乗るだけで楽しい


まだ人のいない上本町駅。自転車を袋に入れることなく、改札を通過。この時点ですでに非日常。上本町駅は乗車ホームが地上と直結していて階段がないため、荷物が重くなりがちなライド&フィッシュのバイクでも楽々乗車できるのがありがたい。果たして我々を待っていたのは、ポップなカラーリングの観光列車「つどい」。この3両編成の特別列車が、「KettA」としてサイクルトレインになるのです。


外観の可愛らしいサイクルトレイン「KettA」


乗る前からテンションが上がる一同。縦置きのサイクルラックが設置され、20台を超えるバイクを安全に駐輪できます。サイクルトレイン以外にも、足湯列車(!)やビール列車(!)として運行される「つどい」。独特な座席の配置だけでも、大の大人がすっかり楽しくなっちゃっています。


自転車を縦積みできる「KettA」に一同感動しているところ。テンションが上がる。


目指すは伊勢志摩の賢島(かしこじま)駅。「Ketta」では途中の五十鈴川や鳥羽、志摩磯部や鵜方の駅での下車も可能ですが、今回は終点の賢島駅からライド&フィッシュを組み立てます。その道中は3時間強。車内で朝ご飯を食べたり、コーヒーを飲んだり、本を呼んだり。それぞれが思い思いに過ごします。


サイクルラック専用車両。日も昇ってきた。みんなワクワクが止まらない。


座席のある車両は、カウンター付き。朝ご飯を食べたり、コーヒーを飲んだりと思い思いに過ごす。早起きで眠いはずなのに、これからのライド&フィッシュが楽しみすぎて会話が止まないのだった。


賢島駅へ到着!日差しが暖かい。


5人のライド&フィッシュメンを紹介するぜ!


そういえば、「我々」なんて書きながら自己紹介が遅れてしまいました。失礼!


今回は、伊勢志摩エリアのライド&フィッシュコースと釣り場を開拓するべく、シマノスクエアのメンバーに、釣り好きフォトグラファーとライターを加えた5名のチーム。来年春にシマノスクエアのイベントとしてお客様をご案内できるよう、下見も兼ねての実釣・実走行旅行です。とはいえ、数名の鼻息が道中ずっと荒いんですが……さてはみんな、釣りたいんだな!


KAGE店長……MTB乗りらしく、フラットバーに仕立てたグラベルバイクで参加。タックルを2セット持ち込むなど、鼻息荒らめ。


ASAKEN副店長……今回の旅のまとめ役。来春のイベントで、どうすればお客様に喜んでもらえるかを常に考えている。


SHOTAROくん……シマノスクエアの若きスタッフ。個性の強い店長と副店長のもと、日々自転車と釣りを勉強中。


辻啓……シマノスクエアのイベントでもお馴染みの世界で活躍するサイクルフォトグラファー。装備もミニマルにロードバイクで参加。釣り好き。鼻息荒らめ。


ライター小俣……この記事の執筆者。雑誌バイシクルクラブでは「Ride & Fish Japan」を連載中。パックロッド大好き。(密かに鼻息荒め)


左からKAGE店長、ASAKEN副店長、辻啓、ライター小俣、SHOTAROくん。みんな自分の愛車と愛竿をKettAに持ち込み伊勢志摩入りを果たした。


AM10時過ぎに賢島駅に到着。心なしか日差しが暖かく、都市部とは違うところへ来たことが強く感じられます。ここで近鉄の担当スタッフの方々に出迎えられ、総勢8名でライド&フィッシュに出発! 今日のルートは、志摩半島の南側、さきしま半島を奥へと向かいながら釣りをするというもの。まずは東側の波切漁港を目指します。


賢島駅を出発。快晴!もう気持ち良すぎる…


ライドスタート!魚影濃い海に期待高まる


日差しが暖かく、どこか沿道の植物も南方系に見えてきて「島」感のあるルート。アップダウンに富んでいるものの、勾配はさほどきつくなく、むしろ軽快にライドを楽しめるコース。10kmほど走って、無事に波切漁港に到着。すでに堤防には釣り人の姿があります。


一番左のASAKEN副店長はまた釣り竿を出したところなのに、KAGE店長(鼻息荒め)とライター小俣(密かに鼻息荒め)はもうルアーを結ぶ所。辻啓(鼻息荒め)はすでに堤防でルアーを投げている。


鼻息の荒い人たちがこぞって釣りの支度を開始。あっという間に、釣り道具一式を組み立て、自動膨張を装着して釣り人スタイルに。先行者に話を聞くと、イカがたくさんいるけどなかなか釣れない、とのこと。確かに小さなアオリイカの群れが見えます。大物釣りが好きなKAGE店長はショアジギングのタックルを携えて、スタスタと堤防の先端へ。なんでもいいから釣りたい辻啓とライター小俣はエギをセットして、見えているアオリイカを狙います。


対象魚がたくさんいるのが海の釣りのいいところ。思い思いに狙いのサカナめがけてルアーをチョイスする。


しかしこの日は東風が強く、なかなか思うようにルアーをコントロールできず。時折ベイトフィッシュの群れが眼の前を通り過ぎ、雰囲気は良いのですがノーフィッシュ。いかにも釣れそうなのに……でもまだ釣りは始まったばかり。風裏を目指そうと、タックルを再び収納し、半島の西へ向かいます。


大王崎灯台へのちょっとしたヒルクライム。真珠の販売店が軒を連ねていて、この地域の伝統産業を感じさせた。


途中、大王崎灯台に寄り道。観光名所にさくっと立ち寄れるのも、ライド&フィッシュならでは。上まで登れる灯台は全国に16あると言われており、この大王崎灯台はそのひとつ。眼下には青く澄んだ太平洋が一望でき、絶景に言葉を失うほど。……あれ、浜辺にいる釣り人に見覚えが……。よく見ると、KAGE店長が灯台に目もくれず、一心不乱にルアーを投げているのでした。花より団子、絶景よりサカナ。この人の執念にも言葉を失いかけます。なお、クロダイの群れが見えたそうですが、釣り上げるには至らず。


大王崎灯台から降りてくると、あれ?誰か浜辺にいるぞ!


KAGE店長は観光よりも釣り。いつの間に……。でも良いポイントですぐに釣りができるのも、ライド&フィッシュのいいところ。


チャンスは夕マズメ。夕日に向かって走れ!


一行はペダルを踏み踏み。たどり着いたのは風裏となる片田漁港。ベイトフィッシュもたくさんいて、釣れそうな雰囲気はムンムン。時おり水面で起こるボイルは、青物?エギを小さなイカが追いかけてきたということは、大きいのもいるはず……岩と海藻が密集しているここには根魚がいるかも……。


荷物をたくさんは持てないライド&フィッシュだからこそ、ルアーは厳選したものばかり。1軍ルアーだから、いつでも釣れそうな気がする。けれども誰のルアーにも反応はなし。少し日も傾いてきたので、ポイントを移動! 自転車があるので、大きく西へと動くことにします。せっかくだから、さきしま半島の端っこまで行ってみよう。


青い空に青い海。自転車で走るのにこんなにいいところはない、と100回くらい思ったのでした。


片田漁港。ここにもベイトフィッシュがたくさん。うまくタイミングとルアー選びが合えば、釣れそうなのだが……留まるか動くか、判断が難しい。


さきしま半島を西へと向かう国道260号は、交通量も少なく、道が真っすぐ伸びていて走っていて気持ちいい。夕日に向かって走っていると、西の果ての御座白浜に行き当たった。


ASAKEN副店長がもりもりと前を引いてくれたおかげで、西へは快調なペースで進んだ。


夕日の名所でもあるビーチは、オフシーズンということもあって貸切状態。美しい光景に、一同釣りを忘れてひととき風景を楽しんだのでした。


気持ちよく自転車で走ってきてこの光景なのだから、たまらない。ちょっと各人の鼻息も収まってきた?


気を良くした一同、夕方の最後の時間は近くの御座岬で再び釣り竿を振る。今日ここまでのポイントとは違う岩場で、また狙える魚の種類も変わってくるはず。大きいオオモンハタとかアカハタがいそうな雰囲気。


今日これまでのポイントともまた違うロケーション。


あ、根掛かった……。夕日もほとんど沈みかけているので、今日はこれで納竿です。残念!


納竿!


釣る気満々でやってきた5人は、やや傷心。しかし釣り人とは単純な生き物で、美味しい食事とお酒があれば、釣れなかった一日をサカナに楽しめるもの。あそこでああすれば良かった、あのルアーの動きが良かった、ベイトフィッシュの種類は……あーだこうだと話は尽きず。


旅館「志摩半島」(いい名前)の海鮮料理があまりに見事で、伊勢・志摩の豊かさを実感。刺し身は言うに及ばず、この地域で食されている生のアジを骨ごと味わう料理に歓声が挙がったのでした。その土地の料理を味わうこと、やはりこれが旅の醍醐味です。


サカナづくし。伊勢志摩の海の幸。釣れなかったけど、いい一日だった。明日は釣ってさらによい一日に!


しかし一同は、「これだけアジ料理が出てくるということはアジが釣れるはずだ」なんて真面目な顔で明日の釣りを想像している様子。釣り人とは単純な生き物であること……。とはいえ私を含む全員が翌日こそは……と心に燃えるものあり。明日は早起きして朝マズメの釣りからスタートすることに。


この日の走行距離はおよそ35km。心地よい疲労の中で眠りについたのでした。


どの魚介も絶品だったけれど、アジ料理は際立っていた。


後編に続く