Ride&Fish

2025-02-23

冬の伊豆半島・下田でミニベロに乗ってRIDE&FISH|後編

お昼ごはんは道すがらで見つけてあったラーメン屋さんへ駆け込む。むわっと湿度のある、暖かい室内と、美味しいラーメンが心身をともに癒やしてくれた。店内には店の方が釣ったと思しき大きなブリ(?)の写真が飾ってある。いいな……。



遅い昼食を経て、午後の部スタート。さっきのナブラが忘れられず、小一時間ほど港に戻って粘ったもののリピートは無かった。いつでも投げ込めるよう、メタルジグの準備は万端だったのだが。


無念。


次なるポイントを求めて、またしばらく海沿いのアップダウンを走ってゆく。伊豆半島の南端、石廊崎までやってきた。海の向こうには伊豆七島が見える。なんだか、遠いところに来てしまったようだ。




日が傾いてきた。相変わらず風は激しく吹き荒れているが、見つけた漁港は壁面がうまいこと風を防いでくれている。今日一番釣りがしやすそうなポイントだ。それに、足元にはイカの墨跡がいくつもある。これは期待できるかもしれない。



再びパックロッドを組み上げる。この作業を今日は何回しただろうか。再びエギをリーダーに結ぶ。投げる。シャクる。この作業を今日は……(略)


風の影響が少ないポイントを発見。糸の出方もいい感じ。


シャクリを入れて、ステイ。今日何度もやった動作だけれど、風の影響が少ない中でやるとまた感覚が違う。アタリが来ないか、糸を張らずとも緩めずのテンションでじりじりと待つ。しかしイカの反応はない。



これだけ風が避けられるなら、アジングができるのではないか! 今日初めて小さい方のロッドを取り出して準備を整える。1gのジグヘッドに小さなワーム。ロッドが短いのでキャストしても15mほどしか飛距離が出ないが、ようやくこの釣りができる。(持ってきたロッドが無駄にならずにヨカッタ……)


しかし魚信が無い。だんだんと日が傾いてきて、寒くなってきた。風を防いでくれていた大きな壁面は、太陽も遮ってしまうのだった。ぶるぶる……寒い。ぶるぶる……プルプル……?

! アタってる!


クククッと小気味よい引き。これを逃したら一巻の終わりだと慎重にかつ必死のランディング(実際はゴリ巻き)。ちょこんと浮かび上がってきた魚は……赤い! 釣れてきてくれたのは、ちいさなアカハタちゃん。狙っていたアジではなかったけれど、一日の最後に魚の顔が見れてほっと一安心。嬉しい!(これで帰れる)。……おっと心の声が。



一匹が釣れると、いろいろ考えてしまう。アカハタがいるなら、もう少し大きめのジグヘッドとワームで根魚狙いも良かったのではないか。朝イチからここにはいっていたらどうだったのだろう、とか。しかし全ては結果論。


釣具屋の店員さんのアドバイスで揃えたルアーを駆使して、自転車に乗って自らの足でポイントに至り、そして手にした一匹。詰将棋のようなその過程の全部が楽しい。


巡り会えたこの一匹に満足して、寒さもあったのでこれで納竿とする。相変わらず風は吹き荒れているけれど、下田の街へ帰るのに、風向きは追い風。ひゃっほう。一日の最後のペダリングは軽やかに、あっというまに街へと到着した。道中ずっと、あの心地よい引きを思い出していた。


会心の一匹が釣れたので笑顔。魚のサイズが重要なんじゃない、釣れたことが嬉しいのだ。


これだからRIDE&FISHはやめられない。また季節が良くなったらここを走って釣ってみたい。その時は、どんな魚が遊んでくれるだろうか。


帰りは追い風に乗って快走。1日を通して30kmほどを走ったライド&フィッシュだった。


伊豆半島・下田での「釣れるまで帰らない」覚悟で臨んだRIDE&FISH。下田までの輪行を考えて自転車は折りたたみ自転車のブロンプトンをチョイス。6段変速で多少の坂なら問題なし。半島の海岸線アップダウンは、荷物を積んだ状態だとちょっと大変。


海岸線は意外とアップダウン。向かい風が吹いていてこの日はなかなか大変だった。とはいえ、風がなく、ゆっくり走るのであれば小径車でも充分いけるとも感じた。


今回のお供はブロンプトンC-LINE。6段変速のExploreモデル。10秒そこらで折り畳めてコンパクトなので、輪行にもすごく使いやすい。フロントバッグはメトロ・メッセンジャーバッグ。輪行時には肩がけできて便利。


ブロンプトンは独自機構で装着できるラゲッジ類が充実しているのが特徴。今回は要領の大きめのフロントバッグに、釣具と1泊分の荷物を搭載。釣り竿はバッグのサイドポケットに差して収納した。


ワールドシャウラ・テクニカルエディションのソフトバッグにロッドを2本収納。コンパクトでよいが、ライド中に段差を越えた時の衝撃が少し気になる。今後はセミハードケースを使おうかと考え中。ロッドの固定は悩みどころだ。


主なターゲットとして、エギングでアオリイカ、アジングでアジを狙う想定でタックルを準備した。ロッド2本はワールドシャウラ・テクニカルエディションに付属するソフトバッグに収納してフロントバッグ横へ。



ロッドはアジング用にワールドシャウラ・テクニカルエディションS52L-F/4(左)と、ワールドシャウラ・ドリームツアーエディション 2651F-5(右)の2本で臨んだ。それぞれ4ピース、5ピースで、仕舞寸法は43.5cmと46.7cm。RIDE&FISHにパックロッドは必需品と言っていい。



リールはエギング用に3000番台のものにPE0.8号、10LBリーダー。アジング用には2000番台で、0.25号のエステルラインを巻いた。リーダーは0.5号。


ルアー類はエギを中心に、アジングワームとジグヘッド。カマスやメッキが港内にいるかもしれないという淡い期待を持ってミノーや軽量メタルジグ、スプーンも準備。根魚用にホッグ系のワームとジグヘッドも。ライトタックルなのでルアーも比較的コンパクト。自転車で運ぶことを考えるとライトソルトは適している釣りだ。


エギング、アジングを中心にルアーをセレクト。


いつ高波がやってくるかわからない海釣りでは膨張式の救命具は着用しておきたい。コンパクトタイプのラフトエアジャケットは腰に巻いていることを忘れるほどで、ライド中もつけっぱなしだった。



冬のRIDE&FISHはウェアリングが難しい。釣りの最中に着られるようにインナーダウンを持っていったが、この日は寒すぎてライド中もジャケットの下に着込んでいた。備えあれば憂いなし。ヘルメットとサングラスはライド用に必須。サングラスは偏光レンズにしておくと釣りでも便利だ。シューズはソールのしっかりしたトレイルランニング用のものにした。ペダリングも妨げず、また釣り場でもしっかりと歩けた。


一匹の価値を高めてくれるライド&フィッシュ、楽しんでみませんか? 身近な釣り場も、自転車で行くことで違う楽しさが味わえます。


Text: 小俣雄風太 
Photo: 水上俊介